典型的計算例

ここでは、典型的計算設定について紹介する。

デカルト座標

小規模局所光球計算

Vögler et al., 2005 などで行われている小規模局所光球計算の設定を説明する。

  • Makefileのオプション

    指定するオプションは 光球のみ一様グリッドで計算するので, 複数方向輻射輸送で計算する。以下が指定されていたコメントアウトする。

    • PPC := -Done_ray

  • 計算領域・解像度

    計算領域は鉛直方向(R2D2ではx方向)にrsun から700 km上から5.444 Mm下までをとる。水平方向(R2D2ではyとz方向)には、6.144 Mmずつとる。

    太陽光球を計算するときは、鉛直方向には少なくとも48 km, 水平方向には少なくとも192 kmの格子間隔が必要である。ここでは各方向に48 kmの格子点間隔をとることにして、各方向に128グリッドづつ格子点を用意する。ここではMPIプロセスを2×2×2プロセス使う例を示す。これらの設定は src/all/geometry_def.F90 を編集。

    integer, parameter, private :: nx0 = 64, ny0 = 64, nz0 = 64
    integer, parameter :: ix0 = 2, jx0 = 2, kx0 = 2
    
    ...
    
    #ifdef deep
        ... (ignore this)
    #else
        real(KIND(0.d0)), parameter :: xmax = rsun + 0.7d8
        real(KIND(0.d0)), parameter :: xmin = rsun - 5.444d8
    #endif
    
    ...
    
    #ifndef ideal
        real(KIND(0.d0)), parameter :: ymin = 0.d0
        real(KIND(0.d0)), parameter :: ymax = 6.144d0
        real(KIND(0.d0)), parameter :: ymax = 0.d0
        real(KIND(0.d0)), parameter :: ymax = 6.144d0
    #endif
    

    と設定する。念のために

    integer, parameter :: xdcheck = 2
    integer, parameter :: ydcheck = 2
    integer, parameter :: zdcheck = 2
    
    ...
    
    integer, parameter :: iper = 0, jper = 1, kper = 1
    

    となっているかチェックする。全て xdcheck などは2に設定してあると3次元計算となる。iper はそれぞれの方向に周期境界条件を使うかのフラグである。

  • 音速抑制法

    光球のみ計算の時は、音速抑制法を使う必要は無いので、音速抑制率を常に1に設定する。 src/all/background_init.F90 を編集。

    #ifdef ideal
        ... (ignore this)
    #else
    
    ...
    
    do i = 1,ix00
        !xi00(i) = max(1.d0,160.d0*(ro00(i)/rob))**(1.d0/3.d0)*sqrt(dprdro(i)/dprdrob)
        xi00(i) = 1.d0
    
        ...
    end do
    
    ...
    
    #endif
    

    と設定する。

  • 境界条件

    水平方向は周期境界を用いるので、鉛直方向の境界条件のみを設定すれば良い。 磁場の上部境界条件はポテンシャル磁場の境界条件を用いる。他の設定はVöglerの論文を参照。 src/all/bc_all.F90 で設定している。

    #ifdef ideal
    ... (ignore this)
    #else
    
    #ifdef deep
    ... (ignore this)
    #else
        call bcx(qq)
        !call bcx_whole(qq)
    #endif
    

    とする。 bcx(qq) が実行されるようにする。 また、念のため

    call bc_potential(qq)
    

    がコメントアウトされていないかチェックする。

  • 輻射輸送

    輻射輸送は複数本の光線を解くのが良い。Makefileで PPC: = -Done_ray を設定しないようにする。

  • 初期条件

    初期条件は、鉛直方向速度(vx)にランダムな微小速度を与えている。プラージュ領域を計算したい場合は model_init.F90

    bx = 100.d0
    

    とすれば良い.

  • 出力アウトプット

    ここは本当は完全に自由だが、データの出力の設定である。粒状斑の動きを詳しく見ようと思ったら30秒ほどの時間ケーデンスで出力するのが良い。 main.F90 を編集。

    dtout = 30.d0
    ifac = 1.d0
    
  • その他注意事項

    model_def.F90remap_calc.F90 で出力するスライスの位置を決定している。

    integer, parameter :: jc = ny*jx0/2
    integer, parameter :: kc = nz*kx0/2
    

    と領域の真ん中を出力することにしているが、状況によって違う場所が出力されている場合がある。もし変なことが起こったらここをチェックしてみると良い。

    また、 io.F90 の中程に計算の途中に磁場などを追加する設定がある。ここに何か書いてあると初期条件に足してしまうので、add something で検索して call model_* (*は任意)のところはコメントアウトするように。

  • 計算結果

    以下のような計算が得られる。

    _images/photosphere.png

中規模黒点計算

Rempel, 2012 で行われている中規模光球計算の設定を説明する。

  • Makefileのオプション

    光球のみ一様グリッドで計算するので, :code:`PPC:= -Ddeep`を設定していないかチェック。

  • 計算領域・解像度

    計算領域は鉛直方向(R2D2ではx方向)にrsun から700 km上から5.444 Mm下までをとる。水平方向(R2D2ではyとz方向)には、49.152 Mmずつとる。

    太陽光球を計算するときは、鉛直方向には少なくとも48 km, 水平方向には少なくとも192 kmの格子間隔が必要である。ここでは鉛直方向に48 km、水平方向に96 kmの格子点間隔をとることにして、鉛直方向に128グリッド、水平方向に512グリッドづつ格子点を用意する。ここではMPIプロセスを2×4×4プロセス使う例を示す。これらの設定は src/all/geometry_def.F90 を編集。

    #ifdef deep
        ... (ignore this)
    #elif ideal
        ... (ignore this)
    #else
        real(KIND(0.d0)), parameter :: xmax = rsun + 0.7d8
        real(KIND(0.d0)), parameter :: xmin = rsun - 5.444d8
    #endif
    
    #ifndef ideal
        real(KIND(0.d0)), parameter :: ymin = 0.d0
        real(KIND(0.d0)), parameter :: ymax = 49.152d8
        real(KIND(0.d0)), parameter :: ymax = 0.d0
        real(KIND(0.d0)), parameter :: ymax = 49.152d8
    #endif
    
    ...
    integer, parameter, private :: nx0 = 64, ny0 = 128, nz0 = 128
    
    ...
    integer, parameter :: ix0 = 2, jx0 = 4, kx0 = 4
    

    と設定する。念のために

    integer, parameter :: xdcheck = 2
    integer, parameter :: ydcheck = 2
    integer, parameter :: zdcheck = 2
    
    ...
    
    integer, parameter :: iper = 0, jper = 1, kper = 1
    

    となっているかチェックする。全て xdcheck などは2に設定してあると3次元計算となる。iper はそれぞれの方向に周期境界条件を使うかのフラグである。

  • 音速抑制法

    光球のみ計算の時は、音速抑制法を使う必要は無いので、音速抑制率を常に1に設定する。 src/all/background_init.F90 を編集。

    #ifdef ideal
        ... (ignore this)
    #else
    
    ...
    
    do i = 1,ix00
        !xi00(i) = max(1.d0,160.d0*(ro00(i)/rob))**(1.d0/3.d0)*sqrt(dprdro(i)/dprdrob)
        xi00(i) = 1.d0
    
        ...
    end do
    
    ...
    
    #endif
    

    と設定する。

  • 境界条件

    水平方向は周期境界を用いるので、鉛直方向の境界条件のみを設定すれば良い。 磁場の上部境界条件はポテンシャル磁場の境界条件を用いる。他の設定はRempelの論文を参照。 src/all/bc_all.F90 で設定している。

    #ifdef ideal
    ... (ignore this)
    #else
    
    #ifdef deep
    ... (ignore this)
    #else
        call bcx_sunspot(qq)
        !call bcx(qq)
        !call bcx_whole(qq)
    #endif
    

    とする。 bcx_sunspot(qq) が実行されるようにする。 また、念のため

    call bc_potential(qq)
    

    がコメントアウトされていないかチェックする。

    ポテンシャル磁場から少しずらしたい時は、 mhd_def.F90 の中でRempel, 2012で定義されている \alpha が定義されている。

    real(KIND(0.d0)), parameter :: potential_alpha = 2.5d0
    

    などとする。

  • 輻射輸送

    輻射輸送は複数本の光線を解くのが良い。 rte_def.F90 を編集する。推奨される設定は

    logical, parameter :: rte_multiray_flag = .true.
    logical, parameter :: rte_linear_flag = .false.
    integer, parameter :: mhd_rte_ratio = 1
    

    とするのが良い。

  • 初期条件

    初期条件は、鉛直方向速度(vx)にランダムな微小速度を与えている。 黒点以外は磁場をゼロにしておく。 model_init.F90

    bx = 0.d0
    by = 0.d0
    bz = 0.d0
    

    とすれば良い.

    黒点設置のために model_sunspot.F90 を編集。いくつかパラメタがあるが、変えたい時はプログラムのコメントを参照すること。 io.F90 を編集し、

    !add something
    time00 = 0.d0
    if(ns == 0 .and. nd == 0) then
        call model_sunspot
    endif
    

    とする。デフォルトでは、 call model_sunspot がコメントアウトされていることが多いと思われる。

  • 出力アウトプット

    ここは本当は完全に自由だが、データの出力の設定である。粒状斑の動きを詳しく見ようと思ったら30秒ほどの時間ケーデンスで出力するのが良い。 main.F90 を編集。

    dtout = 30.d0
    ifac = 1.d0
    
  • その他注意事項

    model_def.F90remap_calc.F90 で出力するスライスの位置を決定している。

    と領域の真ん中を出力することにしているが、状況によって違う場所が出力されている場合がある。もし変なことが起こったらここをチェックしてみると良い。

全対流層計算

課題

全対流層計算の設定例

深い部分のみの計算

  • Makefileのオプション

    PPC: = -Ddeep # 深い層のみ
    PPC: = -Done_ray # ここでは輻射輸送は解かないがone_rayとしておくことでメモリ節約
    PPC: = -Dremap_2d_assign # remapで2次元的に出力する
    PPC: = -Dsoundwave_suppress # 音波が暴走するのを抑える
    
  • 計算領域・解像度

    水平方向には太陽半径程度、鉛直方向には 0.71R_\odot から 0.96R_\odot 程度までがおすすめ。

    integer, parameter, private :: nx0 = 64, ny0 = 64, nz0 = 64
    integer, parameter :: ix0 = 2, jx0 = 2, kx0 = 2
    
    ...
    
    #ifdef deep
        real(KIND(0.d0)), parameter :: xmax = 0.96d0*rstar
        real(KIND(0.d0)), parameter :: xmin = 0.71d0*rstar
    #else
        ... (ignore this)
    #endif
    
    ...
    
    #ifdef deep
        ! for deep CZ calculation
        real(KIND(0.d0)), parameter :: ymin = 0.d0
        real(KIND(0.d0)), parameter :: ymax = rstar
        real(KIND(0.d0)), parameter :: zmin = 0.d0
        real(KIND(0.d0)), parameter :: zmax = rstar
    #else
        ! for surface calculation
        ... (ignore this)
    #endif
    
  • 音速抑制法

  • 音速抑制法

    対流層の深い部分のみを計算する場合は、音速と熱対流の比が大体同程度となるように設定する。 src/all/background_init.F90 で設定しているがやや複雑なことをしているので、このままにしておくと良いであろう。

  • 境界条件

    scr/all/bc_all.F90 を見ると良い

    #ifdef spherical
      ... (ignore this)
    #else
      call bcx_deep(qq)
    #endif
    

となっていればオーケー

  • 輻射輸送

    対流層の深い部分では、輻射輸送を解く必要はない。

  • 初期条件 初期条件では、鉛直方向速度(vx)にランダムな微小速度を与えている。磁場を入れたい場合は、適当な値を model_init.F90 で設定すれば良い。

球座標(Yin-Yang格子含む)

Yin-Yangで深いところのみの計算

  • Makefileのオプション

    • PPC:= $(PPC) -Ddeep

    • PPC:= $(PPC) -Done_ray

    • PPC:= $(PPC) -Ddeep

    • PPC:= $(PPC) -Dspherical

    • PPC:= $(PPC) -DYinYang

    • PPC:= $(PPC) -DnoFFTW

    • PPC:= $(PPC) -Dremap_2d_assign

  • 格子点数
    • Yin-Yang gridを使うために ny0*jx0*3=nz0*kx0 となるようにする

2次元計算

磁束管浮上

最終更新日:2024年09月04日